患者さんへ

乳腺センター

ご紹介

当院における乳がん診療はながらく外科診療の一部として行っておりました。

近年、乳がん患者さんの増加と診断、治療の高度化に対応し、病院内の機能を集中させ地域の中核病院としての責務をはたすために、平成25年5月より、乳腺センターを開設いたしました。

特徴

患者さんを中心に乳腺外科、放射線診断、病理診断、緩和ケアの各専門医と看護師、放射線技師、検査技師、薬剤師、および地域医療連携室が協力、連携するチーム医療を行います。

個々の患者さんに合わせたオーダーメイドの標準治療(科学的根拠に基づいた治療)について十分に説明させていただいた上で、患者さん自身の希望を最大限尊重した治療を心がけます。

診断、治療および緩和治療まで一貫した乳癌診療を受けることが出来ます。

 

担当医師

センター長 中口 和則
[経歴]

鳥取大学医学部卒
医学博士(大阪大学)

[所属学会、専門資格等]

日本乳癌学会専門医
日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医
マンモグラフィ読影 評価A
乳腺超音波検査講習会 評価A
日本乳癌学会評議員
近畿外科学会評議員

副院長 土居 貞幸
[経歴]

大阪大学医学部卒
医学博士(大阪大学)

[専門領域]

消化器外科全般、鏡視下手術、乳腺、末梢血管、下部内視鏡

[所属学会、専門資格等]

日本外科学会専門医
近畿外科学会評議員

外来診察表

 
 
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
午前
中口 和則
手 術
中口 和則
土居 貞幸
手 術
午後
 
 
乳腺外来
乳腺外来
乳腺外来
乳腺外来
 
 
(中口)
(土居)
(中口)
(土居)
 
 

 乳腺センターの休診について

   乳腺センターの休診については外来診察表をご覧ください。 ⇒ 外来診療表

診断

1.視触診

診断の基本であり、しこり、リンパ節の腫大、乳頭分泌等の所見をみます。

2.マンモグラフィ

乳房を圧迫し、薄い状態にしてレントゲン撮影し病変のひろいあげを行い、良・悪性を5段階で評価(カテゴリー分類)します。

当院の乳房撮影装置はマンモグラフィ検診精度管理中央委員会の認定を受けたものです。検診で受診された方のマンモグラフィは二人の医師により診断をおこなうダブル読影をしています。

3.超音波検査

乳房にゼリーを塗って乳房内の断面を超音波で画像化する検査です。患者さんには苦痛の少ないベッドサイドで手軽におこなえる検査で、当院ではしこりの硬さを評価できるエラストグラフィ搭載の最新超音波検査装置を外来に常備しております。

  

視触診、マンモグラフィ、超音波検査は症状のない患者さんが任意検診とし受診された時にも、その場で行う手軽な検査で診断結果も即日お知らせしています。

4.穿刺吸引細胞診

超音波検査を利用し的確な部位より細胞をとり良性、悪性の判定を行います。病変が超音波検査でみつかり次第、連続して外来で行います。

5.針生検

細胞診で診断が困難な時や手術前に薬物療法をする時に行う組織検査です。傷跡がほとんど目立たない針で行うことが可能です。

6.切開生検

診断が確定しない場合、手術室で皮膚に切開を加え組織検査をします。

治療

乳がんの診断がつけば、MRI、CT等で他臓器に転移がないか、乳房内に多発病変がないか等を外来で検査のうえ治療を開始します。

1.手術療法

乳房温存療法(乳房温存手術+術後放射線照射)を以下の条件を満たせば積極的に施行しています。
  1. 大きさ3.0㎝以下
  2. 画像診断で広範な乳管内進展を示す所見(マンモグラフィで広範な悪性石灰化など)のないもの
  3. 多発病巣のないもの
  4. 術後放射線照射が可能なもの
  5. 患者さんが乳房温存療法を希望されること

* ただし、患者さんの年齢を含めた全身状態とご家族を含めたご希望を優先します。

センチネルリンパ節生検

以前の乳がん手術はリンパ節を摘出すること(リンパ節郭清)が一般的であり、手術後の腕の運動障害や知覚異常、むくみ等の合併症がおきることがしばしばありました。センチネルリンパ節という乳がんからリンパの流れが最初に流れ着くリンパ節をみつけ、このリンパ節に転移がなければ残りのリンパ節の郭清を省略することでこの合併症を減らすことが可能です。この目的で行うのがセンチネルリンパ節生検です。以下の条件をみたせば、色素法により行い生検術後の病理診断でリンパ節郭清の省略を決めています。

  1. しこりの大きさが3.0cm以下
  2. 触診,画像検査(超音波検査,CT検査等)でリンパ節転移の所見のないもの

2.薬物療法

手術後の薬物療法は手術後の乳がんの性状を顕微鏡による組織検査(病理検査)に特殊染色検査を加え、患者さんひとりひとりの再発リスクを検討しオーダーメイドで決定します。

基本的に外来化学療法室や外来投薬で行います。

化学療法(抗がん剤治療)

再発のリスクの高い患者さんに手術後の補助療法として、数種類の抗がん剤を組み合わせて、期間を決めて行います。また、進行乳がんの場合手術前に行い、乳がんを小さくしたり、転移巣に対する全身治療を先行させるためにおこないます。再発患者さんには、再発治療として行います。副作用による合併症を軽くするため血液検査を定期的に行い、吐き気等の対策も投薬により軽くなるようにします。副作用の強い患者さんには、抗がん剤の量を減らしたり、種類を変更したりして対処しています。

内分泌療法(ホルモン治療)

乳がんの摘出標本の病理検査でホルモンレセプター陽性の患者さんでは女性ホルモンの働きで乳がんは増殖します。この女性ホルモンの働きをおさえることで再発を予防したり、再発した時の進行を遅らせるのが内分泌療法です。閉経前と閉経後で女性ホルモンの作られる状況が違いますので、使う薬は異なります。術後の補助療法として、閉経前の患者さんはタモキシフェンという女性ホルモンの作用を直接おさえる薬を5年以上のんでいただき,同時にゴセレリンという卵巣の働きをおさえる薬を4週間ごとにお腹の皮下に2年以上注射します。閉経後の患者さんは副腎から作られる男性ホルモンを脂肪や筋肉、肝臓などで女性ホルモンに変えるアロマターゼという酵素の働きをおさえる薬を5年以上のんでいただきます。再発患者さんにも効果を確かめながら投与します。閉経後のホルモンレセプター陽性の再発患者さんにはフェゾロデックスというお尻に注射する新しい内分泌治療薬も使用しています。

分子標的療法(モノクローナル抗体治療)

乳がん細胞の表面にHER2タンパク(受容体)が存在する患者さんはこのタンパクが刺激されるとがん細胞の増殖が促進されます。HER2タンパクに結合してその働きをおさえる薬ハーセプチン(モノクローナル抗体)を投与することで、手術後の再発をおさえたり、再発患者さんの治療に使用したりします。最近では、いくつかのモノクロナール抗体が発売され、抗がん剤といっしょに使っています。

手術後の経過観察

乳がんになられた患者さんの対側(がんと反対側)の乳房は乳がんにかかっていない人に比べ乳がんになる率が高いことが知られています。当院では、手術後、1年ごとに対側のマンモグラフィと超音波で定期検査します。また、乳房温存療法後の温存乳房(手術した側の乳房)には5%前後の残存乳房再発がおきるといわれており、当初5年間は半年から1年ごとに温存乳房の超音波検査をおこないます。以上の検査に加え、手術後5年間は、3カ月ごとの視触診と腫瘍マーカー(がんが再発、進行した時に血液中に増加するもの)の測定、6カ月ごとに胸部レントゲン、腹部超音波検査とCT検査を適時おこない転移の有無を検査し、手術後5年から10年は、半年ごとの視触診と腫瘍マーカーの測定と年1回のCTによる転移検査を行います。10年経過された患者さんは年1回の対側乳房と温存乳房の検査のみをおこなうことを原則としています。

進行再発患者さんの治療

乳がんは他のがんに比べ治りやすいと言われていますが、日本では1年間に1万人前後の患者さんが乳がんで亡くなられ、年々増加の傾向にあります。手術してから再発がみとめられるまでの期間が長かったり、転移、再発してからの治療期間も比較的長いのが特徴です。当院では手術前にすでに転移をしている患者さんや手術後に再発された患者さんには、転移部位やその転移程度に合わせ、薬物療法を主体に治療させていただき、場合により手術や放射線療法をくみあわせて行います。がんによる痛みに対しては、モルヒネなどの麻薬や骨の転移の痛みにはビスフォスフォネート剤(ゾメタ)等で痛みをおさえ、QOL(生活の質)を保ちながら治療を受けられるようにしています。万一、病状が進行し治療困難になったときには、当院の緩和ケア外来を受診していただき緩和ケア病棟の利用も可能です。

地域医療連携室

放射線治療や核医学検査等、当院で行えない治療や検査については、地域医療連携室を通じて、病院と病院の連携システムを利用してご紹介しています。

セカンドオピニオン

他院で乳がん診療を受けておられる患者さんが、ご自分の病気に対する診断や治療について、当院の乳腺専門医の意見をきいてみたい時には地域医療連携室を通して申し込んでいただければ受け付けております。

以上、乳腺センター機能をご紹介しました。地域の皆さまに活用していただければ幸いです。